九州エリアで多数の導入の実績を誇る再エネ事業を展開
〔1〕SDGsに通ずるVPP事業
福岡県福岡市博多に拠点を置くリフェコ(表1)は、福岡県、佐賀県、熊本県を中心に、九州エリアで、主に既設の戸建住宅向け住宅設備の販売や施工・保守事業を展開している。太陽光発電をはじめ蓄電池やV2H、オール電化などのビジネスにおいて、九州エリアで多くの導入実績がある。
表1 リフェコのプロフィール(敬称略)
※社名リフェコ(LIFECO)の由来:ECOとLIFEを入れ替えることで、「循環」の意味を込めた。LIFEとECOをつなぐEは環境にやさしいエネルギー(ENERGY)を提供することを表す。
出所 https://www.lifeco.co.jp/company/outline.html をもとに編集部で作成
同社は、九州エリアを中心に、太陽光発電事業を『ゆめソーラー』というブランド名で展開している。
近年、世界中で地球温暖化対策として脱炭素化が推進されている中、日本政府は再エネの主力電源化に向けて、「VPP構築実証事業」を進めている。
リフェコは、国際社会共通の“2030年までに達成すべき17の目標”としてSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みにも積極的である。リフェコは、例えば図1に示す、「SDGs7(目標7)は、エネルギーをクリーンに」「SDGs11(目標11)は住み続けられるまちづくりを」「SDGs17(目標17)は気候変動に具体的な対策を」など、VPPとSDGsは相互に通ずるところがあると考え、両者を両輪として推進している。
「VPP構築実証事業」注1は、2016〜2020年度にわたる5カ年計画で、50MW以上の調整力(表2参照、本記事で登場する用語解説)をもつVPPの遠隔制御技術などの確立を目標としている。その総予算は、約230億円(229億円)にのぼる。同実証事業は2021年3月に終了注2し、令和3(2021)年3月31日にその報告書がSII注3から発表された。VPPは、いよいよビジネスフェーズを迎えることになる。
表2 本記事で登場する主な用語解説
出所 各種資料をもとに編集部で作成
〔2〕ダイナミックプライシング(DP)の実証も
世界の自動車市場は、脱炭素化(脱ガソリン車)に向けて、電気自動車(EV)を含む電動車(EV/PHEV)へのシフトが加速している。このような背景もあり、VPP構築実証事業を進化させ一歩進める形で、令和2(2020)年度~令和4(2022)年度の3カ年計画で経済産業省・資源エネルギー庁による実証事業「ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業」が開始された注4。
この実証事業では、電動車を充電する場合、時間帯別料金(ダイナミックプライシング)を導入して、充電のピークシフトを行う効率的な電力システムの構築を目指している。
▼ 注1
本誌2020年7月号を参照。「2020年度のVPP実証事業がスタート!EV/PHEV向けダイナミックプライシングを実証 —需給調整市場をにらみVPPのビジネス化を加速—」
▼ 注2
「令和2年度 バーチャルパワープラント構築実証事業成果報告」、令和3(2021年3月31日)
▼ 注3
SII:Sustainable open Innovation Initiative、一般社団法人環境共創イニシアチブ。平成23(2011)年2月22日に設立。VPP構築実証事業補助金等の執行などを行う組織。
▼ 注4
・「令和2(2020)年度 ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業」の二次公募採択結果(令和2年10月30日)、エフィシエント、elDesign、日本エコライフ(現:リフェコ)の3社のコンソーシアムが採択された
・「令和3(2021)年度 ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業」(公募期間:2021年4月9日〜2021年4月28日)