カーボンニュートラルを目指す社会インフラとしてのデータセンターとは?
― DXを推進し、GXへの新しい流れを加速 ―2021年10月4日 0:00
目の前ではCOVID-19との戦いがあり、2030年には国内の温室効果ガス排出量46%削減というアグレッシブな目標を抱える中、IT基盤としてのデータセンターにも大きな波が押し寄せている。今までのように化石燃料による電力消費は許されない。世界は大きく、再生可能エネルギー(以下、再エネ)への移行に動き出している。
今回の特別対談では、データセンターがDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、新たにGX(グリーントランスフォーメーション)(注1)へ向かうという流れを捉えながら、データセンター企業のカーボンニュートラル戦略など、多様な視点でデータセンターを検証し、進むべき道を探ってみたい(敬称略)。
COVID-19や社会のデジタル化によって、データセンタービジネスが増加
図1 週のうちのテレワーク率※(2021年6月現在)
※転職応援メディア「ミライのお仕事」が主体になり、働く成人男女948名にテレワーク・リモートワークの現状について調査を実施。
出所 株式会社ネクストレベル、「週のうちテレワークはどれぐらいですか?」、2021年6月のテレワーク普及率を調査!コロナで働き方はどう変わったのか。2021年6月11日
〔1〕COVID-19がデータセンター業界に与えたインパクト
藤原:COVID-19のインパクトは大きく2つあると思うのですが、1つはテレワークの導入です。テレワーク率が3〜8割の人が全体の4分の3を占めるという数字が出ています(図1)。テレワークは企業情報を厳密に守ることが大事ですので、しっかり情報を守れるデータセンターが信頼され、需要が伸びていると実感しています。
もう1つは、物販系EC(電子商取引)の需要の増加です。テレワークと物販ECの伸長が、データセンターやクラウド需要の増加要因になっていると感じております。
江崎:私も同じ感想です。物流拠点はものすごい勢いで増えています。次のステップとして、「モノ」から「コト」(体験)へとニーズが変化し、さらに情報へのニーズが高まりそうです。
〔2〕データセンターと経済の活性化の関連性
藤原:我々も実感しているのですが、富士キメラの2021年6月18日の発表資料によると、データセンタービジネスの国内市場の2025年予測は、2019年比では3兆3,367億円(48.6%増)となっています(表1)。
この不景気の時代に、データセンター業界はある種の安定的な発展モデルを示せています。ですから社会経済の活性化のためにも、データセンター業界が率先して牽引すべきではないかと思っております。
江崎:そうですね。アメリカと中国のデータセンタービジネスがものすごいスピードで増えていて、日本が追いかけている状態です。特に中国は、ここ4、5年で年率30〜40%ぐらい伸びています。
▼ 注1
GX:Green Transformation、CO2を削減し環境保護と経済を両立させる社会変革のこと。
関連記事
IIJのカーボンニュートラルデータセンター実現への取り組み
2022年8月11日 0:00
大規模蓄電池化の技術課題と今後の展望
2020年12月10日 0:00
IEC TC 8 SC 8C初代議長・早稲田大学 教授 石井 英雄 氏に聞く!次世代電力供給システムの国際標準化組織「IEC TC 8 SC 8C」がスタート!
2021年2月1日 0:00
加速する洋上風力発電の導入と次世代送配電ネットワーク≪後編≫
2022年1月9日 0:00
東急の長期経営構想とエネルギー戦略
2021年5月2日 0:00
RE100加盟53社、「2030年に再エネ比率50%」を求む!
2021年4月11日 0:00