CO2排出量算定ツールの導入で算定業務を効率化
京浜急行電鉄株式会社(以下、京急グループ)は、二酸化炭素(CO2)の排出量を算定・可視化するためのツールを導入した。これまでExcelを使用していた算定業務を効率化し、京急グループ全体の環境負荷低減と非財務情報開示の強化につなげるのが狙い。ツールを提供したアスエネが2025年9月8日に発表した。
Excelでの自社算定に課題、第三者検証を見据えツール導入
京急グループは2019年度からCO2排出量の算定を開始したが、Excelを用いた手作業では、鉄道や不動産、レジャーなど多岐にわたる事業の拠点からのデータ収集が困難だった。加えて、単位ミスや集計漏れのリスクも抱えていたという。また、将来的な有価証券報告書での開示義務化や、企業の環境目標達成度に応じて融資条件が変わる「サステナビリティ・リンク・ローン」といった資金調達における第三者検証を検討しており、従来の対応では限界があった。
こうした課題の解決に向け、クラウド型のCO2排出量算定ツールを導入し、複数拠点におけるデータ収集のプロセスを標準化した。具体的には、テンプレート機能を用いて全拠点でエネルギー使用量などの入力項目や単位を統一した。データ入力の際に証跡を添付する機能により、第三者検証にも対応できるようにした。
CO2排出量算定ツールには、「ASUENE」(アスエネ製)を採用した。直感的に操作できるようにシンプルな画面設計となっており、京急グループは算定作業の工数削減につなげているという。
京急グループは、長期目標として「京急グループ2050年カーボンニュートラル」を掲げ、自社での燃料使用などに伴う直接排出(SCOPE1)と、購入した電力の使用に伴う間接排出(SCOPE2)を実質ゼロにすることを目指している。また、その中間目標として「2035年までに2019年度比70%削減」を設定している。
2024年4月には、京急線全線の運行に使用する全電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、鉄道事業におけるCO2排出量を実質ゼロにした。今後、この取り組みを不動産やレジャー・サービス事業など他分野にも拡大していく計画だ。
参考サイト
PR TIMES アスエネ株式会社 2025年9月8日、「アスエネ、東証プライム上場・京急グループのCO2排出量を見える化