東北電力は2017年1月19日、ガス小売り事業の登録を経済産業大臣に申請したと発表した。2017年4月のガス小売り全面自由化に合わせて、ガス小売り事業に参入する。ただし、一般家庭向けの小売りはせず、トヨタ自動車の関連会社の工場に供給する計画だ。
計画では、2017年4月の全面自由化に合わせて、岩手県胆沢郡金ケ崎町(いさわぐんかねがさきちょう)にあるトヨタ自動車東日本株式会社の自動車製造工場に天然ガスの供給を始める。隣接する株式会社デンソー岩手の工場への供給も2017年の秋頃に始めるとしている。
供給開始前に東北電力はトヨタ自動車東日本の工場内の敷地の一部を賃借し、同社が保有する気化設備や液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)貯槽などの設備を買い取る。さらに設備を増設した上で、トヨタ自動車東日本の工場内で気化設備などを運転し、気化後の天然ガスを供給する。顧客企業の敷地内でLNGを気化して提供するこの方式を東北電力は「LNG共同サテライト方式」と呼んでおり、国内では初めての取り組みになるとしている。
図 LNGをタンクローリーで顧客の工場に運び込み、顧客の工場内で気化して提供する
出所 東北電力
LNGは東北電力が調達し、東北電力のグループ企業である日本海エル・エヌ・ジー株式会社の新潟基地からタンクローリーで運び込む。さらに、LNG燃料設備を設置してある東北電力の新仙台火力発電所からもLNGを出荷できるように設備を整える。新仙台火力発電所からのLNG出荷は2018年下期に開始する予定。
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東北電力