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神戸製鋼所、洞爺湖での温泉発電に向けてバイナリー発電システムを納入

2017/03/15
(水)
SmartGridニューズレター編集部

神戸製鋼所は、北海道の洞爺湖町に同社のバイナリー発電システムを納入したと発表した。

神戸製鋼所は2017年3月13日、北海道の洞爺湖町に同社のバイナリー発電システムを納入したと発表した。洞爺湖町と洞爺湖温泉利用協同組合が事業主として実施する「平成28年度洞爺湖町地熱利用発電設備導入事業」に向けたもの。

洞爺湖町には活火山である有珠山があり、麓に温泉街があるなど、地熱資源が豊富な土地だ。今回の事業では、これまで地熱資源の評価が済んでいなかった有珠山北西の麓にある「金比羅山(こんぴらやま)」周辺で地熱資源開発に向けて調査を実施した。その結果、既存の温泉に影響を与えることなく、地熱資源を利用できることを確認できたので、発電設備を設置することになった。

バイナリー発電システムは、水よりも沸点が低い媒体を間接的に加熱して蒸発させて、その蒸気でタービンを回して発電する。本格的な地熱発電に比べるとはるかに温度が低い熱源を利用して電力を作ることができる。

神戸製鋼所が今回納入したバイナリー発電システムは「MB-70H」と呼ぶ製品。2011年に発売したもので、これまで主に九州に納入してきたという。MB-70Hは70℃~95℃の比較的低温な温水を利用して発電する。最大出力は72kW。タービンを回す媒体には有機媒体「HFC245fa」を採用している。ちなみに、この媒体の沸点は15.3℃。

図 神戸製鋼所が今回納入した「MB-70H」(左)と、MB-70Hを設置した施設(右)。温泉を汲み上げるポンプなどが備わっている

図 神戸製鋼所が今回納入した「MB-70H」(左)と、MB-70Hを設置した施設(右)。温泉を汲み上げるポンプなどが備わっている

出所 神戸製鋼所

太陽光や風力とは違い、地中から汲み上げる温泉の熱を利用するバイナリー発電は、機構に関係なく、昼夜を問わず発電する。今回神戸製鋼所が納入したバイナリー発電システムは、出力は小さくてもそれなりの発電量を期待できるだろう。今回、神戸製鋼所が納入したバイナリー発電システムで発電した電力は、売電はせずに、周囲にある温泉を汲み上げるポンプの電源などとして活用する予定だという。


■リンク
神戸製鋼所

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