グローバルな環境計画「Road to Zero」と環境中間目標「Green Management」
表1 ソニー株式会社のプロフィール(敬称略)
〔1〕ソニーはどのような環境保全活動を行ってきたか
─編集部 ソニーでは早期から環境問題に取り組まれているようですが、いつ頃からどのような活動をされてきたのでしょうか。
佐藤 1976年4月、当時社長だった岩間和夫を議長とする環境会議を設置しました。1990年には当時の社長、大賀典雄によって「ソニー地球環境委員会」が立ち上げられ、持続的発展に向けた環境保全の取り組みを始めています(表2)。環境保全のための目標を各部署で立て、それに基づいて行動する。例えばテレビであれば、省エネルギー性能をどれだけ確保するか目標数値をまず決めて、それに基づいて設計するといった活動を行ってきました。
表2 ソニーの環境活動ついての主な沿革
出所 https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/environment/data/history.htmlをもとに筆者作成
創設者の井深大が書いた設立趣意書には、「社会や社員に対して価値ある存在の会社となる」という意味の一文があります。その理念はソニーのDNAとして引き継がれ、CSR注3をはじめ環境活動の原点となっています。
〔2〕「Road to Zero」と「Green Management」とは
─編集部 現在、どのような施策を展開していますか。
佐藤 ソニーのミッションは「感動」の提供です。それによって世の中の皆様の心を豊かにし、社会的価値を生み出していくことを目指しています。同時に、地球環境や社会があって事業が成り立っているという認識のもと、CSRなど各種の取り組みをサプライチェーン全体で長期的に継続しています。環境活動も、こうした考えに基づいて展開しています。
図1に示すように、現在はグローバルな環境計画「Road to Zero」と、それを達成するための環境中期目標として「Green Management」を展開しています。
図1 ソニーグループの環境活動
※バックキャスト:未来のある時点に目標を設定、その実現を逆算して現在すべきことを策定する計画立案手法。逆に、現状をもとに将来に向けて施策を積み上げていく手法をフォアキャストという。
出所 https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/RoadToZero/gm.html
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/ourvision/GM2020/?_ga=2.197969135.1542016676.1558323437-1823415538.1557903163
〔3〕GM2015はほぼ全項目で目標達成
─編集部 現在の各施策の進行状況はいかがでしょうか。
佐藤 2011〜2015年度の環境中期目標、Green Management 2015(GM2015)の実績をご紹介します。事業所における温室効果ガス排出量については、2000年度比30%削減という目標に対して総量41%削減、製品1台あたりの年間消費電力量では、2008年度比30%削減の目標に対して33%削減を達成するなど、全27項目のうちほぼすべての項目で目標を達成しています。
現在展開しているGM2020では、製品の年間消費電力量平均30%削減(2013年度比)や事業所から排出する温室効果ガス総量5%削減(2015年度比)などを目標に取り組んでいます。
▼ 注1
RE100プロジェクト(Renewable Energy 100%):事業活動によって生じる環境負荷を低減させるために設立された環境イニシアチブの1つ。事業運営に必要なエネルギーを100%、再エネで賄うことを目標とする。
▼ 注2
いずれの数値も2019年5月9日現在、出所 http://www.datsutanso.jp/14876691304429
▼ 注3
CSR:Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任。企業が自社の利益だけではなく、消費者や投資家などの利害関係者を視野に、より良い社会づくりを目指す自発的な取り組み。