「エリクソン・フォーラム 2026」レポート:AI時代の通信革命と日本の役割 ―エリクソンの技術戦略と国内エコシステム構築[3ページ目]
[4]商用ネットワークで進むAI-RANの実装と検証
エリクソンが推し進めているインテリジェンスの配置の裏づけとして、マンスール氏はAI-RAN の導入や実証が、すでに複数の通信事業者の商用ネットワークで進んでいることを挙げた。インテリジェンスの配置は設計の原則であり、AI-RANはその考え方を基地局側で具体化した実例だ。
AI-RANの導入・実証は15件超にのぼり、北米の主要事業者から欧州、アジア太平洋の主要事業者まで広がる(図5)。事業者はドイツテレコム、SKテレコム、T-モバイル、AT&T、ソフトバンクなど。そこでは、電波状況に応じて変調方式や符号化率を調整する「AIネイティブ・スケジューラ/リンクアダプテーション(LA)」や、AIによる上りチャネル推定、マクロ測位などの機能が導入・試行されている。
マンスール氏は、これらの発表や実証はラボでの実験やコンピュータシミュレーションではなく、すべて商用ネットワークでの取り組みに基づくと強調した。加えて、AI-RAN の実装を加速させるための取り組みとして、ソフトバンクとの以下の事例が紹介された。
(1)AI on RAN
2026年のモバイル・ワールド・コングレスで披露された、モバイルネットワーク上でAIアプリケーションを動かすロボットアシスタント(概念実証)。
(2)AIとRANのワークロードのオーケストレーション
AIとRANそれぞれの処理(作業負荷)の割り当てと調整。モバイルネットワークの実行をAIアプリケーションと合わせて最適化するための、今後欠かせない分野となる。
(3)AIネイティブ・リンクアダプテーションを実証(国内初)
ソフトバンクの5G商用ネットワークで、エリクソンの「AI in RAN」ソフトウェアの機能である「AIネイティブ・リンクアダプテーション用スケジューラ」の有効性を、日本で初めて実証。これは従来技術と比べ、スペクトル効率が最大約25%、下りユーザースループットが最大約50%向上し、全評価エリアでスペクトル効率と下りユーザースループットがともに平均約10%改善した。結果は8月20日に、ソフトバンクとエリクソン・ジャパンが共同で発表した注2。
「AI時代のモバイルネットワークへ進化させるために重要なのは、精度の高いインテリジェンスの配置、つまり適切な場所に適切な機器を置くこと。そして、実際のネットワーク上でその効果を評価・検証することが重要です」とマンスール氏は述べ、講演を締めくくった。
図5 世界で実装が加速するAI-RAN
出所 エリクソン・ジャパン株式会社「エリクソン・フォーラム 2026 メディア・セッション」より
注2:ソフトバンク株式会社、エリクソン・ジャパン株式会社 プレスリリース2026年8月20日、「ソフトバンクとエリクソン、日本で初めてエリクソンの「AI in RAN」を5G商用ネットワークで実証 ~無線アクセスネットワークにおけるAIの有効性を検証~」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2026/20260820_02/
https://www.ericsson.com/ja/press-releases/2/2026/softbank-corp-and-ericsson-conduct-japans-first-trial-of-ericsson-ai-in-ran-on-5g-commercial-network
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