「エリクソン・フォーラム 2026」レポート:AI時代の通信革命と日本の役割 ―エリクソンの技術戦略と国内エコシステム構築[5ページ目]
[2]日本の国家成長戦略を支える基盤として
「今後は、AI、クラウド、モバイルが融合する時代に入っていく。その中で通信は、社会・産業の変革を支える基盤へと進化させたいと我々は考えています」と、安東氏は今後を展望した。
日本政府が掲げる「成長戦略17分野」注4においても、フィジカルAIや半導体など主要領域の実現には高度な通信が不可欠である。日本の成長戦略とエリクソンのモバイル通信の戦略との整合性を、安東氏は強くアピールした(図7)。
こうした状況の中、モバイルネットワークが果たす役割は、単なる高速通信から社会・産業を支えるミッションクリティカルなインフラへと進化する。想定されるユースケースは、公共安全、ユーティリティ(電気・ガス・水道)、鉄道、防衛、デジタル空域などだ。用途ごとにネットワークへの要件が異なり、スライシングによる高度な品質保証、安全性、低遅延、大容量のアップリンク対応が必要になる(図8)。
こうしたミッションクリティカルなインフラの強化は、通信事業者の新たな収益源となり、その収益源が日本の5Gネットワークの高度化や6Gへの進化を導くと、安東氏は語る。
図7 日本の成長戦略とエリクソンの戦略的整合
出所 エリクソン・ジャパン株式会社「エリクソン・フォーラム 2026 メディア・セッション」より
図8 日本における将来のモバイルネットワーク構築
出所 エリクソン・ジャパン株式会社「エリクソン・フォーラム 2026 メディア・セッション」より
[3]人材育成と産学連携による国内エコシステムの強化
続いて安東氏は、国内での取り組み方針を発表した(図9)。政府、通信事業者、エコシステムパートナーとの連携を通じて、日本が直面する社会課題の解決と産業競争力の向上に貢献する方針のもと、通信インフラの高度化と、人材・エコシステムを育成する。
インフラ面では、最高水準の5G接続の提供と、5Gの活用拡大を進める。
これに加えて力を入れるのが人材開発だ。新卒採用は年間25〜35名とし、横浜と仙台の両拠点で受け入れる。女性の採用比率は50%まで高める。育成策としては、日本とスウェーデン間のインターンシップや、海外拠点とのローテーションを用意している。
さらに産学連携も拡大する。電気通信大学、横浜国立大学、大阪大学などと6Gの先端研究に取り組み、成果は国際論文25件、特許出願150件にのぼる。横浜のR&Dセンターでは最大300名規模の研究開発体制を構築する予定だ。国内のサプライヤーとも連携し、日本の技術エコシステム構築に貢献していくと、安東氏は力強く語った。
図9 エリクソン・ジャパンの日本への貢献
出所 エリクソン・ジャパン株式会社「エリクソン・フォーラム 2026 メディア・セッション」より
注4:内閣官房、日本成長戦略会議、閣議決定 2026(令和8)年7月21日
17の戦略分野:①AI・半導体、②デジタル・サイバーセキュリティ、③情報通信、④量子、⑤防衛産業、 ⑥航空・宇宙、 ⑦海洋 、⑧造船、⑨マテリアル(重要鉱物・部素材)、⑩合成生物学・バイオ、⑪創薬・先端医療 、⑫資源・エネルギー安全保障・GX、⑬フュージョンエネルギー、⑭防災・国土強靱化、 ⑮港湾ロジスティクス、⑯フードテック、⑰コンテンツ
- この記事のキーワード



