スーパーコンピュータ「京」(けい)施設におけるエネルギー管理の実際≪前編≫
― 空冷・水冷を併用したコンピュータ冷却システムの設計―2014年9月1日 0:00
2011 年6 月と11 月に、2 期連続で世界最高速を達成したスーパーコンピュータ「京」(けい)は、2011 年4 月からの部分運用の開始以来、安定かつ安全に稼動している。「京」が設置されている建物は計算科学の総合的研究施設であり、3,000m2(約50m×60m)の広大なコンピュータ設置面積に加え、最大で電力消費量約14MWのコンピュータ発熱といった、他のデータセンターなどの施設にはない特徴を備えている。同施設の設備設計や運用についてはどのような工夫がなされているか、前後編の2 回にわたって紹介する。なお本記事は、株式会社日建設計 設備設計部門 設備設計部長 長谷川巌氏、独立行政法人理化学研究所 計算科学研究機構 運用技術部門 施設運転技術チーム チームヘッド(取材当時) 関口芳弘氏への取材をベースにまとめたものである。
1. スーパーコンピュータ「京」とは?計算科学の総合的研究施設の概要
スーパーコンピュータ「京」は、事業主体を文部科学省、開発および運用主体を理化学研究所として、10ペタフロップス注1、つまり毎秒1京回=10,000兆回以上の計算能力をもった、高性能スーパーコンピュータの開発と利用を目的として、2006年にプロジェクトが開始された。