東陽テクニカは2016年11月25日、LoRa Allianceの認証試験サービスの提供を開始した。LoRaWAN規格に準拠する通信機器を認証するサービスだ。サービス提供は、東陽テクニカ社内で11月1日に発足した社内カンパニー「セキュリティ&ラボカンパニー」が担当する。試験は東陽テクニカがスペインAT4 wireless社と共同で運営する「東陽テクニカ/AT4 wireless日本ラボ」(東京都中央区日本橋本石町)で実施する。
LoRaWANは、IoT向け通信規格「LPWA(Low Power Wide Area)」の一種。低消費電力で数km先まで電波が届くことから、ヨーロッパやアメリカでは実用化が始まっている。日本国内でもソフトバンクが2016年度中にLoRaWANの通信サービスを開始することを発表している。
LoRaWANの通信サービスを利用するには、通信する機器がLoRaWANの規格に準拠している必要がある。そこでLoRa Allianceの認証を取得すれば、その機器がLoRaWAN規格に準拠していることと、LoRa Allianceが品質を保証していることを示すロゴマークを利用できるようになる。ロゴマークは消費者にとって、その機器がLoRaWANに対応していることを示す分かりやすい目印になる。
LoRa Allianceの認証を取得するには、LoRa Alliance認定の施設で試験を受け、試験対象の機器がLoRaWANの要求を満たしていることを確認する必要がある。しかし日本にはLoRa Alliance認定の試験施設がなく、機器がLoRaWANに準拠していることを確かめる試験を実施できなかった。
東陽テクニカは、東陽テクニカ/AT4 wireless日本ラボが日本で初めてLoRa Allianceの試験施設として認定を受けたことから、この施設で認証試験サービスを開始する。
サービスの提供においては、ラボを共同で運営するAT4 wireless社の協力も受ける。同社はすでに、ヨーロッパや北米でLoRa Allianceの公式試験施設を運営しており、認証試験サービスを提供している実績がある。さらに、同社が独自開発したLoRaWAN専用試験ツール「TACS4 LoRa Test Tool」はLoRa Allianceから公式試験ツールとして認定を受けている。
試験環境は試験ツールTACS4 LoRa Test Toolが動作しているパソコンと、LoRaWANの通信を受け付けるゲートウェイで構成する。試験対象機器はゲートウェイに接続し、データを試験ツールに送信する。データ送信時の一連の通信動作がLoRaWANに準拠しているかを判断して、合否を決める。試験通信時のログは記録して、希望に応じて試験依頼者に提供する。ログを解析することで、機器開発時のデバッグに役立つデータとなる。
図 LoRaWAN試験環境のイメージ図。DUTは試験対象機器を指す
出所 東陽テクニカ
東陽テクニカでは、この試験環境を利用した認証サービスだけでなく、LoRaWANの通信試験サービスも提供する。機器の開発中で認証を受ける段階にはないが、LoRaWANで通信できることを確認したいという需要に応える。どちらのサービスも試験に必要な費用は1つの機器につき50万円前後。ただし、試験の回数と試験にかかった時間によっては、この価格を超えることもある。
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