三菱ふそうトラック・バスは2017年9月14日(アメリカ時間)、アメリカ・ニューヨーク市で世界初の電気トラック(EVトラック)「eCanter」を正式に発表した。現在、日本の川崎工場で日本国内向けの車両を(参考記事)、とポルトガルのトラマガル工場でアメリカ、ヨーロッパ市場向けの車両を生産しているが(参考記事)それぞれ2017年内の生産台数は50台(日本)、100台(ポルトガル)となっている。この分は2017年度に順次顧客に納車していくとし、今後2年間でさらに500台を販売する計画を明かした。
図 三菱ふそうトラック・バスのEVトラック「eCanter」
出所 Daimler
三菱ふそうトラック・バスは今後2年間はeCanterを既存の顧客に向けて販売する方針。そして2019年から一般に広く販売する計画を立てている。ヨーロッパ各地での試験走行の結果、ディーゼルエンジン車と比べて、走行距離1万km当たり、1000ユーロ(13万円:1ユーロ=130円で換算)のコスト削減効果があることを確認しているという。また、今回の発表会でアメリカの貨物運送大手United Parcel Service(UPS)社がeCanterを3台導入することも明らかになった。
正式発表に合わせて、車両の仕様も明らかになった。電源として蓄電容量が13.8kWhのリチウムイオン蓄電池パックを6つ搭載する。合計の蓄電容量は82.8kWhとなる。満充電状態での航続距離は100km以上。充電にかかる時間は交流230Vを使うとおよそ9時間で、直流急速充電を利用するとおよそ1時間。リチウムイオン蓄電池パックは、三菱ふそうトラック・バスの親会社であるDaimlerが設立したドイツMercedes-Benz Energy社が生産する。車両を駆動させるモーターは最大出力が129kW(約175馬力)で、最大トルクが420Nm。
三菱ふそうトラック・バスの親会社であるDaimlerのトラック部門は、蓄電池パックを製造するMercedes-Benz Energy社、充電ステーション網を運営するアメリカChargePoint社、高速充電技術を開発しているイスラエルStoreDot社に投資することを決めた。EVトラック普及の素地を作る動きといえるだろう。
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