2016年5月19日、シャープ株式会社(以下:シャープ、大阪市阿倍野区、代表取締役社長:髙橋 興三)は、独自の化合物3接合技術により、太陽電池モジュールで世界最高※1となる変換効率31.17%をしたことを発表した。
同太陽電池モジュールは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO、川崎市幸区、理事長:古川 一夫)の「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」プロジェクトの一環として開発され、太陽電池の公的測定機関である国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下:AIST、東京都千代田区、理事長:中鉢 良治)により、31.17%の変換効率が確認された。
一般的に、化合物系の太陽電池セルは、インジウムやガリウムなど、複数の元素から成る化合物を材料とした光吸収層で構成される。光の吸収特性が異なる複数の材料を組み合わせることで、太陽光の波長をより幅広くとらえられるため、高い変換効率を実現できる。
シャープの化合物3接合型太陽電池セルは、「インジウムガリウムリン(InGaP)」、「ガリウムヒ素(GaAs)」に「インジウムガリウムヒ素(InGaAs)」のボトム層を加えた3つの光吸収層から成り、太陽光をより効率良く電気に変換できる独自の構造を採用している。(図参照)
図 化合物3接合太陽電池の構造
同構造を持つ小さなサイズのセル(面積:1.047cm2)で世界最高(当時)※2の変換効率37.9%※3を達成したことを2013年4月24日に発表しているが、今回、より大きなサイズの太陽電池セルの開発とモジュール化に成功した。モジュール(面積:968cm2)としても世界最高の変換効率を達成している。
現在、化合物太陽電池は主に人工衛星などに採用されているが、今回の開発成果をもとに、今後、さらなる高効率化と低コスト化を追求し、軽量化が求められる各種移動体の電源など、地上での用途開拓に取り組んでいく。
※1 2016年5月19日現在、研究レベルにおける太陽電池モジュールにおいて(集光型を除く)。シャープ調べ。
※2 2013年4月24日時点。シャープ調べ。
※3 2013年2月、産業技術総合研究所により確認された数値。(セル面積:約1cm2)
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