≪4≫ユビキタス社会を実現するFMC

≪4≫ユビキタス社会を実現するFMC

〔1〕NTTドコモのFMCサービス

移動通信と固定通信の融合させるFMC(Fixed Mobile Convergence )は、LTEなどで携帯電話の伝送速度の高速化が進むと、携帯電話がすべてのネットワークの入り口となる。NTTドコモのFMCサービス「ホームU」(サービス開始は2008年6月)は、そうした利用を見越した新しいサービス。ホームUは、FOMA/無線LANデュアル携帯電話「N906iL(onephone)」を利用し、自宅では無線LAN経由のIP電話として使用し、外出先では、FOMAとして使用することができるFMCサービス(写真22)。ホームUのユーザー同士であれば通話料金は無料で、それ以外の電話へも通常の携帯電話からかけた場合と比べ、3割ほど安くなるという。将来的には、フェムトセルにも対応する予定。

※ FMC:Fixed Mobile Convergence。移動通信と固定通信の融合


写真22 NTTドコモのFMCサービス「ホームU」の概念図(クリックで拡大)

〔2〕FMC実現のカギとなるフェムトセル

FMCを実現するカギとなる機器であるフェムトセル(※)もいくつか出ていたが、ここでは華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)のフェムトセル端末(写真23)を紹介する。これは、R99(※)とHSPA、UMTS(※)をサポートし、HSDPA7.2Mbps(下り)、HSUPA1.44Mbos(上り)、家庭用で4人、企業用で16人まで使える。

※ フェムトセル:Femtocell、家庭内に設置される超小型基地局
※ R99:リリース99。現行FOMAが採用しているW-CDMAの3GPP仕様
※ UMTS:Universal Mobile Telecommunications System、3G移動通信システム


写真23 ファーウェイのフェムトセル(クリックで拡大)

≪4≫その他の無線通信技術

〔1〕KDDIの1Gbpsの半導体レーザーを使った高速赤外線通信

従来の赤外線通信は発光ダイオードを使用していたが、通信距離や通信速度に課題があった。今回、光ファイバ通信でも使われている半導体レーザーを利用することで、現在の発光ダイオードを使うIrDA(※)が1mの距離で最大4Mbpsの伝送速度なのに対し、10~15cmの距離で1Gbpsの通信することが可能となる(写真24、25)。

現在、IrDAで標準化を進めており、2009年3月の標準化を目指している。

※ IrDA:Infrared Data Association、赤外線データ通信協会およびその標準規格名。1mの距離で最大4Mbps


写真24 KDDIの半導体レーザーを使った高速赤外線通信用モジュール(クリックで拡大)


写真25 KDDIの半導体レーザーを使った高速赤外線通信の概要(クリックで拡大)

〔2〕京セラはiBurst(625kMCモード)を出展

iBurstは、米アレイコムと京セラが共同開発したシステム。625kHz幅の占有帯域を使用し、複数本束ねてマルチキャリアで通信が可能な方式。ユーザー端末の最大伝送速度下り23.88Mbps/10MHz、上り9.13Mbps/10MHz、空間多重技術を使った基地局が下り95.5Mbps、上り36.5Mbpsを実現する。iBurstの拡張仕様が、TDD方式における625kMCモード(625kiloHerts-spaced MultiCarrier Mode)で、802.20WGで可決承認された。

サービス地域は2008年度中に17カ国に拡大する予定で、国内では、IEEE 802.20 625k-MCとして、2008年末までに、2GHz帯TDDバンドの事業者免許が交付される予定だという(写真26)。

ブースでは、iBurst対応機器とWiMAX対応機器が展示された(写真27)。


写真26 京セラiBurstシステムのプロフィール(クリックで拡大)


写真27 左がiBurst対応機器。右は、WiMAX対応のCDMA/WiMAXのデュアル端末「TWX01(試作機)」と
USBタイプのモジュール(クリックで拡大)

〔3〕インプレスR&Dは「WiMAX教科書」発売

インプレスR&Dブースでは、WiMAXフォーラムの認定書籍となる「WiMAX教科書」(2008年7月16日発売)が発売され、「NGN教科書」などとともにブースにて販売された(写真28)。2008年9月に創刊される無料情報月刊誌「IT Leaders」も配布され、多くの来場者が足を止めた。


写真28 「WiMAX教科書」を販売したインプレスR&D(クリックで拡大)

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