強靭なセキュリティ人材を育成するには ~ 巻き込み力と巻き込まれ力 ~
― 第18回「情報セキュリティ文化賞」表彰式/受賞記念講演 ―2022年4月1日 0:00
いよいよ新年度。新入社員の人材教育も各社でこれから始まるが、コロナ禍で続くリモートワークの環境の中で、企業ネットワークのセキュリティについても従来型の手法では難しくなってきている。
去る3月1日〜4日に東京ビッグサイトで開催されたSECURITY SHOW(主催:日本経済新聞社)の最終日、第18回 情報セキュリティ文化賞の表彰式と受賞記念講演が開催された。この賞は、わが国の情報セキュリティ分野の進展に大きく貢献した個人を表彰することを通じて情報セキュリティの高度化に寄与することを目的に、情報セキュリティ大学院大学が2005年2月に制定したもの(写真1)。第18回となる今回は6氏が受賞し(写真2)、授賞式のあと、表彰式に参加した受賞者4氏によるパネルディスカッションが行われ、セキュリティ人材の育成を中心に議論された。
写真1 冒頭にあいさつをする情報セキュリティ大学院大学 後藤 厚宏(ごとう あつひろ ) 学長
「本賞は情報セキュリティの文化の賞で、世界でも類を見ない貴重なものと自負しています」と賞の意義について述べた。
写真2 受賞式後の記念撮影に応じる受賞者(SECURITY SHOW 2022にて、2022年3月4日)
左から情報セキュリティ大学院大学 後藤 学長、受賞者の登氏、砂原氏、荻野氏、猪俣氏、パネルディスカッション・モデレーターの関口氏
各受賞者の主な経歴と受賞のことば(五十音順)
猪俣 敦夫(いのまた あつお)氏
国立大学法人大阪大学 サイバーメディアセンター 全学支援企画部門 教授
【表彰理由】NICT1ナショナルサイバートレーニングセンターCYDER2実行委員会推進委員、SecHack3653実行委員会実行委員に就任し、セキュリティ人材不足解消のため精力的に尽力。さらにコロナ禍におけるテレワークのセキュリティ対策や、訪日外国人等の公衆無線LANサービス提供では、一般社団法人公衆無線LAN認証管理機構の代表理事としてサイバーセキュリティ向上に貢献したこと。
【受賞のことば】現在は若手育成にスコープしていて、SecHack365で新しいコースなども作って高校生から大学生・院生などと楽しくワイワイとやっています。もともと私は、本賞の第1回受賞者でもある山口 英(やまぐち すぐる)4先生からお誘いを受け、この世界に入りました。大変残念なことに、先生は2016年にお亡くなりになられましたが、ご遺志を継ぎ、これからも頑張りたいと決意を新たにしています。
図1 NICT CYDER立上げからのメンバーと猪俣氏
▼ 注1
国立研究開発法人 情報通信研究機構
▼ 注2
Cyber Defense Exercise with Recurrence:実践的サイバー防御演習
▼ 注3
NICT、セキュリティイノベーターを育成する長期ハッカソンプログラム
▼ 注4
奈良先端科学技術大学院大学教授、内閣官房の初代情報セキュリティ補佐官を務めるなどインターネットの安全利用のための研究と運用に尽力した。