日本発の電力調整ビジネスが国際標準に、IECが規格発行
2026年4月10日 (金曜) 11:06
IECがERABの国際規格を発行
国際電気標準会議(以下、IEC)注1は2026年2月18日、各地に点在する太陽光パネルや蓄電池などの分散型エネルギーリソース(DER)注2を束ねて供給力や調整力として活用する「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)」に関する国際規格を発行した(図1)。日本が開発を先導したERABの仕組みがIECの国際標準として体系化されたもので、経済産業省が2026年4月9日に発表した。
図1 IECが発行した国際規格(IEC SRD 63443-1)が定義するERABのシステム概要
出所 経済産業省 2026年4月9日、「日本発の「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)」に関する国際規格が発行されました」
システムアーキテクチャとサービスシナリオを包括的に規定
ERABは、送配電事業者などからの調整要請を受けてアグリゲーターが各地のリソースを制御し、電力の需給バランスを調整するビジネスモデルだ。こうした稼働実績をスマートメーターなどで計測し、提供した調整力の価値を評価することで、電力不足時に需要を抑える「需要抑制(下げDR)」と、再生可能エネルギーが余剰となった際に消費や蓄電を促す「需要創出(上げDR)」という2つのサービスを提供する。
今回発行された「ERABに関するシステムアーキテクチャとサービスシナリオ」(SRD 63443-1)は、上述したビジネスプロセスを実現するためのシステム設計と、具体的なサービスシナリオを包括的に規定したものである。
システム構成については、指令を出す「ERABの範囲(上位層)」と、実行を担う「需要家敷地内の範囲(下位層)」の2層に分けて整理した。また、システムを構成する各参加者の役割や、参加者間で交換されるデータの要件、さらには「kW(電力)」や「kWh(電力量)」といった創出される価値の測定地点についても明確にしている。
本規格は、経済産業省が国内で進めてきた検討会や実証実験の成果を基に、スマートエネルギーシステムに関する国際規格を策定するIECのSyC Smart Energy(スマートエネルギーシステム委員会)注3での審議を経て発行された 。
経済産業省は、日本で実装の経験を積んだERABが国際標準を満たしたことで、世界市場への展開を期待している 。特にASEAN諸国では、日本の官民が提唱する効率的なエネルギー管理の仕組みとしてERABが注目されているとする。
注1 国際電気標準会議(IEC):電気、電子、および関連技術分野の国際規格を策定する、各国の代表的標準化機関で構成される国際組織。
注2 DER:Distributed Energy Resources。分散型エネルギーリソース。各地に点在する太陽光発電、蓄電池、電気自動車などの総称。
注3 SyC Smart Energy:IEC内に設置された、スマートエネルギー分野全体のシステム的な整合性を図り、標準化ロードマップの策定などを行う委員会。
参考サイト
経済産業省 2026年4月9日、「日本発の「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)」に関する国際規格が発行されました」
IEC、「IEC Systems Reference Deliverable 63443-1」



