[スペシャルインタビュー]

ハノイテレコムに聞くベトナム通信事情【寄稿記事】

2007/01/29
(月)
松原 由高

目覚ましい発展を遂げるベトナムに、世界から注目が集まっています。2006年11月7日、世界貿易機構(WTO)でベトナムの加盟が承認されました。また、2006年11月にハノイで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も成功し、ベトナムは国際社会での地位向上と認知度アップを果たしました。安価で質の高い労働力、新たな市場、そして成長性を求める日本の産業界の中で、中国・インドに次いで、ベトナムは新たに大きくクローズアップされてきています。

また、政治・経済の世界だけでなく、最近では、新聞・テレビなどのメディアでも生春巻き、フォーなどのベトナム料理、アオザイ衣装や刺繍絵をはじめとするベトナム文化の紹介が頻繁に行われるようになり、一般の日本人にも、とても身近な国となってきています。

昨今、全世界的に固定電話と携帯電話の通信環境、そしてインターネット環境が新しい世代交代の波の中で大きく変化しようとしています。私は最近のベトナムIT産業との関わりの中で、この通信環境の進化の縮図をベトナムに見出すことが出来ました。今回、WBB Forumの場をお借りして、最近話題のベトナムの素顔と実情の紹介を交えながら、大きく進化を続けているべトナムの通信事情を紹介させていただきます。

今、ベトナムが熱い!

写真3

写真1 ホーチミン市メーリン広場
チャンフンダオ像

 

ベトナム早わかり

まず、本論に入る前にベトナムについて、日本と対比しながら簡単に紹介します(表1)

表1 べトナムの概要
表1 べトナムの概要(クリックで拡大)
写真3

写真2 クチ・トンネル

べトナムの人口は意外に多いことに驚きます。しかも、日本では人口の減少が問題視されているのとは対照的に、年率約1.3%(およそ100万人増のペース)で人口が増加しています。そして、特筆すべきは人口構成において70%以上が39歳以下で占められていることです。これが、ベトナムが近年GDP成長率で8.4%の伸びを実現した活力の源であり、爆発的なエネルギーを感じる要因ともいえます。

写真3

写真3 廃戦車

まず、ベトナムといって思い出されるのはベトナム戦争です。1975年にサイゴン(現ホーチミン市)が陥落して戦争に終止符がうたれてから、30年以上の月日が経ちました。戦後、ベトナムは驚異的な復興を成し遂げていますが、南北併せてベトナム人が100万人以上が戦死し、数千万人が負傷した傷跡は未だ完全に癒されていません。ホーチミン市郊外のクチでは、ゲリラ活動のメモリアルとして、トンネルと廃戦車を公開しています(写真2、3)

写真4 キングコブラとサソリ入り酒

写真4 キングコブラとサソリ入り酒

ベトナムは全体としては高温多雨で、熱帯モンスーン気候に属しています。しかし、南北に1,200kmと長い国土をもつため、北部・中部・南部の地域によって気候は大きく異なっています。日本では目にしないような動物、昆虫も多数生息しています(写真4)

料理は辛過ぎず、概して日本人の嗜好に合っていると思われます。前出の生春巻きや、フォーと呼ばれるスープ麺をはじめ、新鮮野菜を豊富に使った豚、鳥、牛肉料理や海鮮料理も堪能できます。ただ、ビールは冷えていないことが多く、グラスに氷を入れて飲むのには最初、正直戸惑いました。

私のベトナムの人々に対する印象は、笑顔と器用さです。街並みには手の込んだ美しい郷土民芸品がショーウィンドウを飾っています。とくに、刺繍絵と油絵の技術の高さは印象的でした(写真5)。また、ダナン郊外で製造される大理石の彫像の仕上げの美しさについウットリしてしまいました。そしてハノイ郊外で製造される陶器には素朴さの中に美しさを見出しました(写真6)。 そのすべてが、ベトナム人の器用さを強く印象付けるものでした。

写真5
写真5 ダラットの刺繍絵制作工場(クリックで拡大)
写真6
写真6 陶器製作現場(クリックで拡大)

私が数ヶ月毎に訪問するたびに、ハノイとホーチミン市の町並みは、新しいビルの建築が進みどんどん変化しています。そのような中で、フランス植民地時代からの建物や、古くから歴史に残る人物の像が街と調和しながら共存しています(写真7)

そして、今ベトナムの街に溢れているのがオートバイです。地下鉄などの交通インフラを持たないベトナムの主力交通手段です。凄まじい数のオートバイにもベトナムの生命力を感じます(写真8)

写真7
写真7 ホーチミン市市民劇場(クリックで拡大)
写真8
写真8 街に溢れるオートバイ(クリックで拡大)

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