写真1 NEDOが、銚子沖(2.4MW,2013年3月稼働開始)に続いて2013年6月から稼働させた北九州市沖の洋上風力発電(2MW)の実証実験の模様。
〔写真提供 NEDO〕
風力発電の仕組みと種類
〔1〕風力発電の仕組み
風力発電とは、図1および図2(用語解説は表1)に示すように、風の運動エネルギーを風車(風力タービン)によって回転エネルギーに変え、その回転を直接または増速機注1を経た後に発電機に伝送し、電気エネルギーへ変換する発電システムである。
図1は、プロペラ式洋上風力発電システムの構成例である。図1上部のブレード(翼:プロペラ)やナセル(Nacelle)部分、それらを支えるタワー、下部の各種制御装置、電力系統へ電力を送るため電気の電圧を変換する変圧器などで構成されている。
図1 プロペラ式洋上風力発電システムの構成例
〔出所 NEDO再生可能エネルギー白書2012、「3.風力発電の技術の現状とロードマップ」2010年12月、http://www.nedo.go.jp/content/100116324.pdf〕
図2のナセルは、風力発電の心臓部であり、発電機や増速機をはじめ、インバータ、変圧器(タワー下部に配置される場合もあり機種により異なる)、ブレーキ装置などが格納されている。
図2 代表的なプロペラ式洋上風力発電システムの「ナセル」の構造
〔出所 NEDO「沖合における洋上風力発電の挑戦」、http://www.nedo.go.jp/fuusha/kouzou.html〕
表1 図1、図2の用語解説
〔出所 http://www.nedo.go.jp/content/100116324.pdf、「風力発電導入ガイドブック2008年」(2008年、NEDO)〕
〔2〕風力発電の種類
表2 定格出力からみた陸上風車の分類基準
〔出所 NEDO「風力発電導入ガイドブック、55ページ、2008年2月改訂第9版〕
次に、風力発電の種類を見てみよう。
表2は、定格出力から見た陸上風車の分類基準である。定格出力が1kW未満のマイクロ風車から、1,000kW(=1MW)以上の大型風車までに分類される。
風力発電が、環境に優しいクリーンな再生可能エネルギーであることや、比較的低コストで事業化が容易であること、さらに政府が洋上風力発電を推進しているところから、風力発電への関心が急速に高まっている。
図3は、風力発電を陸上風力と洋上風力に分類したものである。現在、風力発電では、一般的に3枚羽根(ブレード)の利用が主流となっているが、これは安定性が高く、振動が発生しにくいなどの理由からである。
図3 風力発電における陸上風力発電と洋上風力発電
(注1)浮体式:洋上風力には、着床式と浮体式がある。着床式は海底に直接基礎を設置する方式。浮体式は洋上に浮かんだ浮体式構造物を利用する風力発電方式である。なお、水深50m程度を超えると着床式ではコストが割高となるので、水深50〜200m程度の海域では浮体式風力発電機がコスト的に有利になると言われている。
▼ 注1
増速機:風車の低速回転を高速にして発電機に伝える装置。