日本の再生可能エネルギー(以下、再エネ)の主力電源化に向けて、経済産業省と国土交通省は、「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」を設立し、第1回会合を2020年7月17日に開催した注1。
洋上風力発電は、再エネの中でも大量導入が可能であり、また、コスト低減による国民負担の低減効果や経済波及効果が大きく、再エネの主力電源化に向けて不可欠な電源である。洋上風力の導入拡大を目的として、2019年4月1日に施行された「再エネ海域利用法」注2に基づいて、洋上風力を主力電源化していくためには、産業の競争力を強化し、コストの低減をしっかりと進めることが重要である。
「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」は、この再エネ海域利用法に基づいて、洋上風力発電の導入拡大と、これに必要な関連産業の競争力強化や国内産業の集積、インフラ環境整備などを官民一体で進め、相互の「好循環」を実現していくことを目的に設立された(図)。事務局は、経済産業省と国土交通省が担当する。
図 国内洋上風力産業の競争力強化に向けた基本的な考え方
同協議会の主な検討課題は、中長期的な洋上風力発電導入のポテンシャルと課題の分析、分野別課題分析(設計・製造、建設・海洋土木など)、計画的導入に向けたインフラ環境整備の在り方(電力系統、港湾・コンビナートなど)、事業者(業界)の投資コスト削減等に関する取り組みなどである。
今後、具体的な方向性を示す「洋上風力産業ビジョン(仮称)」が作成される予定である。
注1 https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/yojo_furyoku/001.html
注2 再エネ海域利用法:正式には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」。海外ではコスト低下が進み、急速に普及している洋上風力発電について、日本では「海域の占用に関する統一的なルールがない」「先行利用者との調整の枠組みが存在しない」などの課題があり、洋上風力の導入が進んでいなかった。これらの課題解決に向けて成立した法律。https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/yojo_furyoku/index.html