海外の動向:米国、ドイツ、欧州
欧米では、すでに幅広い関係者とのコンセンサスを形成する場として、多様な参加者が集まる会議体(表1参照)において、電動車の標準化に関する議論が行われている。
表1 海外の電動車の標準化に関する動向
IWC:National Electric Transportation Infrastructure Working Council
NPE:National Platform for Electric Mobility、ドイツ電動車プラットフォーム
※1 National Platform for Electric Mobility – Third Report (2012)
※2 CEN(欧州標準化委員会)、CENELEC(欧州電気標準化委員会)、ETSI(欧州電気通信標準化機構)が担当することになった。
※3 Focus Group on European Electro-Mobility:Standardization for road vehicles and associated infrastructure Report、ftp://ftp.cen.eu/CEN/Sectors/List/Transport/Automobile/EV_Report_incl_an...
出所 JSCA主催「次世代自動車-インフラ設備インターフェースの国際標準化に関するワークショップ」(2016年7月)の当日資料をもとに編集部作成
ワークショップの調査の目的と範囲
以上のような背景のもと、JSCA注9では「ワークショップ」において、次のような調査目的と調査の範囲を明確にして、取り組んでいる。
〔1〕調査の目的
ワークショップでは、電動車両に関する標準化について、前述した日本の自動車業界と電力業界など、異なる業界間での連携を進めることを目的として、電気エネルギーの充放電に伴う車両(電動車)と電力インフラ間のインタフェースに関する標準とその試験方法・認証の現状を調査するとともに、新たに標準化すべき領域の有無を検討し、その協調領域を特定する。
〔2〕調査の範囲
また、車両と電気設備間のインタフェースを中心として、図3に示す、次のような3つの分野を調査の対象とする。
図3 ワークショップの調査範囲:3つの分野
EVSE:Electric Vehicle Supply Equipment、電気自動車の充電機器
出所 JSCA主催「次世代自動車-インフラ設備インターフェースの国際標準化に関するワークショップ」(2016年7月)の当日資料より
(1)充電インフラ:EVSE(電気自動車の充電機器)、充電スタンド、充電用コネクタ
(2)車両:蓄電池、サブメーター(蓄電池残量計など)、ケーブル(車両内配線ケーブル)
(3)需要家内:HEMS、宅内充放電器、ホームゲートウェイなど
なお、このワークショップ(今回は電力会社と自動車会社)は、あくまでも「協調領域」として「電動車の普及に向けた基盤を整備」し、どのようなサービスを提供できるかなど、共通の課題を検討することを目的としている(注:標準化は、標準化策定団体で実施)。
したがって、自動車全般にわたる課題は自動車工業会で、企業群における「競争領域」(実証実験など)は各企業群で、それぞれ検討されることを想定している。
▼ 注9
JSCA:Japan Smart Community Alliance、スマートコミュニティ・アライアンス。2010年4月設立。所在地:神奈川県川崎市。スマートコミュニティ(スマートグリッドを含むエネルギー・社会インフラ)の国際展開、国内普及を推進するために設立された団体。会員数:272企業・団体(2016年6月現在)。