[特集]

IoT/GoTで実現するトランザクティブ・エネルギーとは?

― ブロックチェーンが拓く取引可能なエネルギーの時代へ ―
2017/05/11
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

ニューヨーク市ブルックリン区のTE実証

 このようなブロックチェーンを適用したTEに関する世界初の実証実験は、米国ニューヨーク市のブルックリン区(写真1)において、新興企業であるLO3 Energy社とシーメンスなどが協業して行われている。

写真1 TEの実証が行われているニューヨーク州ブルックリン(Brooklyn)区の外観

写真1 TEの実証が行われているニューヨーク州ブルックリン(Brooklyn)区の外観

出所 https://www.siemens.com/innovation/en/home/pictures-of-the-future/energy-and-efficiency/smart-grids-and-energy-storage-microgrid-in-brooklyn.html

 住宅用太陽光発電で発電した電気を取り引きするために、マイクログリッドの環境にブロックチェーンネットワーク(LO3 Energy社のTransActive Grid)を構築し、すでにコミュニティ内の住宅間で、互いに太陽光発電による電力の売買が行われている。これは、今後、米国や他の国々における、マイクログリッドプロジェクトの新しい出発点となると見られている注12

 今後、ニューヨーク市では、各種の分散化電源を、ニューヨーク市の配電網をプラットフォーム化して、電気の取引を行うことを目標としている。

顧客(需要者)が参加してくれるかどうかが課題

 このようなTEを実行するには、ピア・ツー・ピアで動作するような情報処理システムや通信技術などの技術は必要であるが、そのほかにいくつかの課題もある。

  1. そもそも顧客(需要者)が自分のエネルギー資源を、なぜそのような市場に提供(参加)しなければならないのか
  2. ブロックチェーン(分散型台帳)のセキュリティやプライバシーなどは守られているのか
  3. 顧客(需要者)が提供する情報がどのようなものか、可視化して理解しやすくなっているか
  4. 参加することでどのようなインセンティブ(魅力的な報奨金)があるか

などである。

 今後、TEが普及するためには、技術的な解決以外に、顧客(需要者)が、どのようなメリットを感じて、安心して参加してくれるかどうかが大きな課題なのである。


▼ 注12
プレスリリース:Siemens and U.S. startup LO3 Energy collaborate on blockchain microgrids Erlangen, 2016年11月21日
※参考サイト:A Microgrid Grows in Brooklyn

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