トヨタコネクティッドとNTTデータがモビリティサービス基盤「MSPF」で業務提携
〔1〕MaaSを加速するトヨタコネクティッドの取り組み
さらに、これまで述べてきた、トヨタとNTTによる「スマートシティプラットフォーム」の共同開発に続いて、トヨタコネクティッド注10とNTTデータ注11は、2020年4月7日、トヨタがグローバルで展開する「MSPF」(Mobility Service Platform、モビリティサービス・プラットフォーム)注12について、共同でその機能強化やサービスの拡張を行うことを発表した(図5)注13。
図5 トヨタコネクティッドとNTTデータによるMSPF機能強化に向けた協業イメージ
出所 ニュースリリース「トヨタコネクティッドとNTTデータ、モビリティサービス事業領域における業務提携を開始」、2020年4月7日
(1)MSPFで世界市場の拡大へ
MSPFは、スマートシティ構想を視野に入れており、前出の図2に示した「スマートシティプラットフォーム」の最上位のレイヤ3のサービス層(さまざまなサービスの提供)に位置づけられる基盤技術である。
このMSPFのさらなる機能・サービスの拡張と、コネクティッドカーを展開する国の拡大に向けて、両社は、より一層のソフトウェア開発力および、運用体制の拡充を目指す。
(2)MaaS戦略を支えるMSPF
すでに2016年11月、トヨタは「コネクティッド戦略」注14を発表し、提供するすべてのクルマをコネクティッド化すると同時に、MaaS戦略を支える「MSPF」の展開を推進してきた。
一方、トヨタコネクティッドは、そのMSPFの開発とともに、日米を中心に世界7地域において、コネクティッドカーから収集されるビッグデータのクラウドセンター運用業務に取り組んでいる。これらビッグデータは、世界中で毎年、数百万台単位で増加しているという。
〔2〕NTTデータはグローバル規模でのプラットフォーム事業の拡大を推進
これに対してNTTデータは、デジタルを活用した新たな市場の創出と、より質の高いサービスの提供に取り組んでいて、その数は、世界50以上の国と地域に及ぶ。
今回の業務提携は、①NTTデータのグローバル規模でのITリソースや、クラウド、ビッグデータなどの技術活用ノウハウと、②トヨタコネクティッドのコネクティッドカー向けサービス事業の経験や、国内外で展開するカーシェアなどのサービス開発・運用ノウハウによる相乗効果が期待されるところから実現した。
今後、トヨタコネクティッドとNTTデータ双方が保有する顧客基盤を相互に活用し、スマートシティ構想も視野に入れてMSPFのサービス力を強化していく。同時に、グローバル規模でのプラットフォーム事業をさらに拡大し推進していく。
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いよいよ5G/CASE時代の幕開けである。
自動車をつくる「カー・カンパニー」からサービスを提供する「モビリティ・カンパニー」へ向けて、自社をモデルチェンジするトヨタが、NTTと連携してDXをばく進している。
自動車産業と通信産業の両雄の連携によるDXは、日本の産業界再編に新しい風を吹き込むダイナミックな展開の1つでもある。今後の展開を注目していきたい。
▼ 注10
トヨタコネクティッド株式会社(TOYOTA Connected Corporation)。
[本社]〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦一丁目11番11号名古屋インターシティ14階、[設立]2000年10月6日、代表取締役社長:友山 茂樹、株主:トヨタ自動車、マイクロソフト、セールスフォース・ドットコム、[従業員数]915名(2020年3月末現在)、[事業内容]人とクルマと社会をつなぐモビリティ社会の創造を目指す。
▼ 注11
https://www.nttdata.com/jp/ja/
▼ 注14
トヨタ自動車プレスリリース、
https://global.toyota/jp/download/14131701/
https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/presentation/2019_q3_competitiveness_jp.pdf