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ウェザーニューズ、ドローンの赤外線カメラを利用した高速道路の路面温度計測試験に成功

2017/12/27
(水)
SmartGridニューズレター編集部

ウェザーニューズは、ドローンに搭載した赤外線カメラでの高速道路の路面温度計測試験に成功したと発表した。

ウェザーニューズは2017年12月27日、ドローンに搭載した赤外線カメラでの高速道路の路面温度計測試験に成功したと発表した。試験は東日本高速道路(NEXCO東日本)北海道支社の協力を得て実施した。場所は道央自動車道岩見沢IC付近の幌向川にかかる高架橋周辺およそ300mの区間。2017年10月25日の16時~20時と26日の5時~9時の時間帯に30分間隔で計測した。その結果、温度センサーでは「点」や「線」の形でしか捉えられなかった路面温度を「面」で捉え、その分布を視覚化することに成功した。

図 10月26日の6時に計測した結果。鉱床版橋の部分が全体的に低温になるなど、道路の構造によって路面温度が変わる様子が分かる

図 10月26日の6時に計測した結果。鋼床版橋の部分が全体的に低温になるなど、道路の構造によって路面温度が変わる様子が分かる

出所 ウェザーニューズ

NEXCO東日本北海道支社は、冬季になると高速道路の路面凍結を防ぐために凍結防止剤を散布している。その際に参考にしているデータは高速道路の路面に設置した観測機器によるデータと、整備車両に設置した温度センサーによるデータだ。しかし、観測機器では、設置地点の温度しか計測できないので、路面温度を「点」で把握することしかできない。整備車両を走らせながら温度センサーで計測しても、「線」のデータしか得られない。

ウェザーニューズは、路面温度が低下しやすい区域を「面」で把握できれば、凍結防止剤を散布すべき区域を分かりやすく捉えられると考えた。そこで、NEXCO東日本北海道支社の協力を得て、赤外線カメラを搭載したドローンで高速道路の路面温度を計測し、温度分布を「面」の形で視覚化した。

その結果、盛土や鉄筋コンクリートなど、高速道路の基礎構造の違いによって温度がはっきりと変わることを視覚的に提示できた。また、鋼床版や鉄筋コンクリートを基礎とする部分は放射冷却の影響を受けて、朝に路面温度が低下しやすいことや、熱しやすく冷めやすい性質から、鋼床版はより顕著に温度が低下することも判明したという。

ウェザーニューズはこれまでもドローンを上空の気象観測に使用してきたが、路面温度計測に活用したのは今回が初めてだという。そして、高速道路路面の温度分布をドローンの赤外線カメラで計測したのは今回が日本初の例になる。ウェザーニューズは今後、北海道内のほかの区域にも観測範囲を広げる予定だ。


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ウェザーニューズ

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