一次エネルギーの種類別に見た2030年までの変化

― 「2050年実質ゼロ」には発電約75%をCO2排出少ない電源に、50%以上の自動車を電動化へ ―

一次エネルギーの種類別に見た2030年までの変化

 IEAは図1の「公表政策シナリオ」と「回復遅延シナリオ」のデータを踏まえ、2020年のエネルギー需要の落ち込みを5%程度と見込んでいるが、その影響を一次エネルギー注6の種類別に見ると、石油や石炭が大きな影響を受けている一方で、再生可能エネルギーは若干増えていることがわかる(図3)。

図3 2019年から2020年の一次エネルギー需要の変化

図3 2019年から2020年の一次エネルギー需要の変化

出所 World Energy Outlook 2020プレゼンテーション

 ここまで見てきたように、COVID-19はエネルギー業界に大きな影響を与えているが、『世界のエネルギー展望2020』では、この出来事が、今後のエネルギー業界の再編につながる可能性もあると指摘している。その可能性の1つを示しているのが図4である。

図4 2019年から2030年の一次エネルギー需要の変化の想定「公表政策シナリオ(STEPS)」版

図4 2019年から2030年の一次エネルギー需要の変化の想定「公表政策シナリオ(STEPS)」版

出所 World Energy Outlook 2020プレゼンテーション

 図4は、2023年には2019年水準まで回復することを前提とした、一次エネルギー需要の変化を想定した「公表政策シナリオ」で、2030年までの変化を図3と同じ構成で示したものである。特に目立つのは、引き続き減少していくと想定されている石炭、そして大幅に増加すると想定されている再生可能エネルギーである。

 同様に図5は、2019年水準への回復が2025年まで遅れるという、一次エネルギー需要の変化を想定した「回復遅延シナリオ」である。

図5 2019年から2030年の一次エネルギー需要の変化の想定「回復遅延シナリオ(DRS)」版

図5 2019年から2030年の一次エネルギー需要の変化の想定「回復遅延シナリオ(DRS)」版

出所 World Energy Outlook 2020プレゼンテーション

 図5では、世界経済の回復遅延を織り込んで、すべてのエネルギー源が「公表政策シナリオ」よりも減少しているが、ここでも石炭の減少幅の大きさが目立っているが、他と比べて再生可能エネルギーの需要は大きくは減少していないことがわかる。


▼ 注6
一次エネルギー:自然界から得られた変換加工しないエネルギーのことで、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料や原子力燃料、水力・太陽光などをいう。

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