IoTによってもたらされるビッグデータ

─ M2MからIoT/IoE時代のビッグデータをいかに活用するか ─

IoTによってもたらされるビッグデータ

それでは、IoT/IoE時代の到来がもたらすものは何だろうか。それは、膨大な量のビッグデータである。

例えば米国では、電力会社は、かつては検針を月に1回行っていたが、スマートメーターを導入した現在は、15分に1回のペースでデータが生成されている。そのため、電力会社が抱えるデータは、指数関数的に増えているという。また、飛行機のジェットエンジンの中には70個のセンサーが入っており、30分に1回10テラバイト分のデータが生成されている。このほか、デバイス自体も日々急速なペースで増加しており、世界中では、毎日2エクサバイト(=200万テラバイト)のデータが生成されているという。

このように、ネットワークでつながれたデバイスによって膨大なデータが生成されるようになると、ITアーキテクチャの変化が起こる、とジュレ氏は言う。

現在のネットワーク構造では、ネットワークのさまざまな場所に分散しているセンサーやルータから送られるすべてのデータをクラウド上に集積して分析し、その結果をネットワークに接続されているデバイスまで返すというのが一般的である。しかし、この構造では、データが生成された現場に迅速に結果が戻せないという課題がある。また、不必要なデータもすべてクラウドまで送ることになるため、無駄なコストもかかってしまう。

このような課題を解決するアーキテクチャとして、シスコが提唱したのが「フォグコンピューティング」である。フォグコンピューティングとは、前述の通り、生成される膨大なデータを処理する際に、すべてのデータをクラウド上のアプリケーションで処理するのではなく、データの発生場所に近い(ネットワークのエッジ部分にある)アプリケーションを搭載したルータなどで必要な処理を迅速に行うという仕組みである。すなわち、すべてのデータを「クラウド」で処理するのではなく、必要なデータを、データの生成場所に近い「フォグ」(すなわち、クラウドの手前)で迅速に処理するという構造である(図4、図5)。

図4 従来のコンピューティングモデルとフォグコンピューティングモデル 図4 従来のコンピューティングモデルとフォグコンピューティングモデル
〔出所 シスコシステムズ記者発表資料(2014年2月)を元に作成〕

図5 フォグコンピューティングの構造 図5 フォグコンピューティングの構造
〔出所 シスコシステムズ記者発表資料(2014年2月)を元に作成〕

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