特別レポート

テスラの蓄電池:パワーウォール2/パワーパック2

― 2017年1月からギガファクトリーで高性能・低コストな「2170セル」の量産開始 ―

テスラの蓄電池:パワーウォール2/パワーパック2

写真6 テスラ「パワーウォール2(Powerwall 2)」の外観

写真6 テスラ「パワーウォール2(Powerwall 2)」の外観

出所 https://www.tesla.com/jp/presskit

 前述したように、テスラは、一般家庭向け蓄電池「パワーウォール2」(Powerwall 2)や、企業や電力会社向け蓄電装置「パワーパック2」(Powerpack 2)向けの蓄電池の生産を開始している。

 一般家庭向け蓄電池「パワーウォール2」(写真6)は、家庭の壁掛けあるいは床に設置(定置型蓄電池)して利用可能で、表4に示すように、出力5kW(前のバージョン3.3kWの1.5倍)その蓄電容量は13.5kWh(前のバージョン6.4kWhの2倍)であり、価格も5,500米ドル(約66万円)とかなり低価格となっている。

表4 テスラ「パワーウォール2」の主な仕様

表4 テスラ「パワーウォール2」の主な仕様

出所 https://www.tesla.com/jp/presskitを元に編集部作成

 また、企業や電力会社向け蓄電装置「パワーパック2」(写真7)は、テスラで設計し、ギガファクトリーで生産された新型インバータ「テスラ インバーター」や、統合用ソフトウェアなどによって最大20台を柔軟に接続し、多様な用途向けに利用可能となっている。このため、表5に示すように、使用可能容量(蓄電容量)は、200kWhから100MWh以上まで拡張可能となっている。

写真7 「パワーパック2 (Powerpack2)」の外観

写真7 「パワーパック2 (Powerpack2)」の外観

出所 https://www.tesla.com/jp/presskit

表5 テスラ「パワーパック2 」の主な仕様

表5 テスラ「パワーパック2 」の主な仕様

出所 https://www.tesla.com/jp/presskitを元に編集部作成

 「パワーウォール2」は、住宅用の太陽光発電システムに、「パワーパック2」は、産業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)やマイクログリッドなどでの利用が見込まれている。写真8に、「パワーウォール2」を導入したソーラーハウスの例を示す。

写真8 テスラ「パワーウォール2」が設置されたソーラーハウスの例

写真8 テスラ「パワーウォール2」が設置されたソーラーハウスの例

出所 Tesla Press Information

 また、写真9には、「ハワイ島」で導入された蓄電容量52MWh(電池パック)/出力13MWの例と、「カリフォルニア・エジソンの変電所」に導入された蓄電容量80MWh(電池パック)/出力20MWのマイクログリッド(メガソーラープロジェクト)の例を示す。この80MWhの電池パックは、世界一のリチウムイオンの電池パックとなっている。

写真9 マイクログリッド(メガソーラープロジェクト)の例

写真9 マイクログリッド(メガソーラープロジェクト)の例

出所 Kurt Kelty氏、「EVメーカーからエネルギー貯蔵分野のさきがけ者を目指すテスラ」(ESSJ 2016、2016年11月9日)より

衝撃的な「モデル3」の反響:予約販売1日で10万台

 これまで、テスラが2020年の完成を目指しているギガファクトリーの現状や最新のEV、リチウムイオンバッテリーの動向を見てきた。

 昨年の3月31日、同社が開発中の次世代EV「モデル3」の予約販売開始をグローバルに開始したところ、1日で10万台という信じられないような速さで売れてしまい、その後1〜2週間で40万台も売れてしまったという。

 そのため、2020年に50万台を売るという計画は前倒しにせざるを得ない事態を迎え、ギガファクトリーの完成は2020年ではなくて2018年までにと、2年前倒しを検討せざるを得なくなったのである。まさに、先進的なテスラのブランド力と国際的なエコカーへの関心の高さを示す衝撃的な反響である。

 「持続可能なエネルギーへ加速する」というスローガンを掲げ、太陽光や風力などによる再エネで稼働する世界一のエコな蓄電池工場「ギガファクトリー」を推進するテスラの動きに、国際的な注目が集まっている。クリーンな電気自動車(EV)からクリーンな再エネビジネスまでを取り込んで新しい挑戦を続けるテスラの展開は、喫緊の課題となっている地球温暖化対策の面からも注目したい。

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