エリクソンは5G最新テクノロジーを多数展示
3年ぶりにMWCに復帰したエリクソンは、2019年と同じホール2を使い、約6,000平方メートルのスペースで展示を行った(写真3)。ブース入口には、同社がビジョンとして掲げる「The imagine possible Experience」(想像可能な体験)のイメージムービーが流れ、エリクソンの各製品やサービスがもたらす人やデータなどとの無限のコネクティビティ、それによってサイバーとフィジカルが一体化し、生活や産業、そして日々の暮らしにイノベーションをもたらしていく様子が描かれていた。
写真3 エリクソン展示ブースの様子
出所 エリクソン提供資料より
具体的には、次の4つのカテゴリーに分けられて、展示およびデモが行われた。
- ネットワーク:クラウドRAN(※)、インテリジェント オートメーション プラットフォーム(※)、ダイナミック ネットワーク スライス セレクション(※)、エッジ エクスポージャー サーバ(※)、テレコムBBS(Bulletin Board System、掲示板システム)、各種ネットワークサービス、マルチバンド製品群、等
- エンタープライズ:プライベート5G(※)、IoTアクセラレータコネクト(※)、5Gユースケース、IoTプラットフォーム、等
- カスタマー:5G拡張現実、ホログラフィック・コミュニケーション、2030年のトレンド予想、等
- ビジョン:5Gのセキュアとレジリエンス、2030年のビジョン、等
以降は、(※)印の各技術に関して紹介する。
クラウドRAN:ミッドバンドのデモ
エリクソンではすでに、2020年10月にクラウドRANの製品発表を行っている。当初、ローバンド5G(低周波数帯の5G)から始まったソリューションの提供は、2021年夏にミッドバンド注5 5G(中周波数帯の5G)へと広がっている(図1)。
図1 クラウドRANの展開
出所 エリクソン提供資料より
ミッドバンドのクラウドRANでは、無線ユニットは既存機種が利用可能で、光通信のアクセスインタフェース(eCPRI)注6を装備している。eCPRIをもたない既存機種とは、変換装置を介してクラウドRANに接続できる。
会場では、そのミッドバンドRANのデモが行われた。クラウドネイティブ(最初からクラウド上で動くことを前提に設計されたシステム)なOS上に、CU注7とDU注8ともにソフトウェアで構築、さらにインテル社製のアクセラレータ(加速装置)も装備している。この構成によって、下り約1.5Gbps、上り約100Mbps以上の回線速度を実現した(図2)。
図2 ミッドバンドクラウドRANデモの様子(左)と回線速度の表示例画面(右)
左側のグラフは回線速度の実測値で、左(グリーン)は下り約1.5Gbps、右(オレンジ)は上り100Mbps以上を示している。
出所 「エリクソンのMWC2022ハイライト記者説明会」(2022年03月31日)より
▼ 注5
ミッドバンド:5Gは使用する周波数帯別にローバンド(600〜900MHzの低周波数帯)、ミッドバンド(2.5GHz、3.5GHz、3.7〜4.2GHzの中周波数帯)、ハイバンド(24GHz、28GHz、37GHz、39GHz、47GHzの高周波数帯)に分かれる。ハイバンドの周波数帯はミリ波とも呼ばれ、高速・大容量の伝送が可能になる。
▼ 注6
eCPRI:10ギガビット・イーサネットなど高速イーサネットインタフェースを活用した通信方式
▼ 注7
CU:Central Unit、集約基地局
▼ 注8
DU:Distributed Unit、リモート局