このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
2003年12月から開始された地上デジタル放送により、BSデジタル放送から、CSデジタル、CS110°デジタル放送、地上デジタル放送に至るまで、さまざまなデジタル放送が利用でき、多彩な放送を受信できるようになりました。ここでは、これらのデジタル放送と、今までのアナログ放送やインターネットとの相違点から、デジタル放送時代の法制度までを解説していきます。
今回は、アナログ放送に対するデジタル放送のメリットについて説明します。


Q2:デジタル放送で何が変わるのでしょうか?
アナログ放送からデジタル放送に変わることによって、どのようなことができるようになるのでしょうか?
≪1≫圧縮技術がもたらす多チャンネル化
デジタル放送によって、品質の高い映像を送信できることに加え、送ることのできる番組数(あるいはチャンネル数)が飛躍的に多くなります。MPEG(Moving Picture Experts Group、動画像の圧縮符号化技術を標準化するISO/IECの専門家グループの組織。この組織名が規格名としても使用されている)の「圧縮符号化技術」によって、映像や音声の品質を落とさずに、より少ない情報でもとの映像や音声が表現できますので、従来のアナログ放送番組1つを送っていた同じ電波帯域を使い(日本の場合6MHzの帯域)、4~5本(4~5チャンネル)のデジタル放送番組を送ることができます(図1-2)。
例えば、関東地域のアナログ地上放送の場合、現在、7局の放送を受けることができますが、同じ電波を使用してデジタル放送を開始すると仮定し、1局当たり4~5本の番組を放送できるとすると、計算上では約30の番組を同時に送信できることになります。
番組視聴者の嗜好が多種多様に変化していると言われている現在、このような多チャンネル化を実現できることは、放送受信者にとって朗報となるに違いありません。また、近年、HDTV(あるいはハイビジョン。高精細テレビ)による高画質の放送も多く放送されるようになってきています。帯域の関係から地上波では放送することが難しかったHDTVも、圧縮技術によって従来のアナログ放送と同じ帯域で放送することが可能になってきたのです。
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