上智大学 服部 武 教授 VS 総務省 電波部 河内 正孝 部長
アナログ放送の停波で130MHz幅が空く
—放送の電波についてお聞きしたいのですが、まず2011年のアナログ・テレビ放送の停波に伴うテレビの跡地利用の問題というのはどう考えておられますでしょうか
河内 アナログ・テレビ放送が2011年に終了した後、そこで使われている電波の周波数を整理して、新しい用途に使えるようにする取り組みを現在進めています。これをテレビの跡地利用問題と呼んでいます。この図に示すように〔連載:活発化する電波/周波数の割り当て(3)の第9図を参照 〕、現在、低いところから言いますと、VHFのテレビの1~3チャンネル(ch)の周波数帯90~108MHzの18MHz幅、それから、4~12チャンネル(ch)の170~222 MHzの52MHz幅は、完全に空くわけです。
さらに、UHF帯の53~62チャンネル(ch)の710~770MHzの60MHz幅も空きます。ただし、この710~770MHzは、現在、地上デジタル・テレビ放送でも使っているので、アナログのテレビがなくなっても、すぐには空かないんですね。そこでもう一度、その地上デジタル・テレビ放送を、下のほうの13~52チャンネル(ch)の空いた所に移動させていってから、そこの60MHz幅が使えるようになるのです。
その結果、先ほど示した図のように、合計70MHz+60MHz=130MHz幅の周波数帯が空いてくるということなのです〔連載:活発化する電波/周波数の割り当て(3)の第9図を参照 〕。
その130MHz幅の周波数帯は、テレビジョン以外の放送の用途に使えるようになっていますが、具体的にどのように使うのかということについては、現在、情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波有効利用方策委員会 で検討をしています。そこでどんな用途に使いたいかについて、各関連事業者に提案を求めたところ、周波数の異なる場合も重複カウントして、181システムもの提案がありました。
—とても意欲的ですね
河内 ええ。今、181システムの提案を絞り込んでいるところです。よく似たシステムとか、明らかに用途として使えないシステムなどを排除して、10月21日現在、33システムまで絞り込んだのです。それでも各システムからの要望の周波数を全部足し合わせると、空き周波数(130MHz)の6倍くらいになっているのです。